地所:ブルゴーニュ地方 コート ド ボーヌ地区 ムルソー村
県の重要文化財に指定されているシャトー ド ラ ヴェルを所有するダルヴィオ家は1789年に起こったフランス革命以前から葡萄栽培を行っており、現在で9世代目になる生産者です。現当主のベルトラン ダルヴィオ氏の温厚な性格と畑への情熱がワインにも表現されていて、1997年にはフランス大統領晩餐会公式ワインに選ばれました。また、「Vigneron Independent(ヴィニュロン アンデパンダント)」という葡萄栽培農家組合のコート ドール県の会長も務めています。
畑はほとんどが粘土石灰質土壌で環境保護を考えて15年以上も前からリュット レゾネ(減農薬農法)を採用していて、1株の房数も白は6房、赤は5房に制限し、収穫も全て手摘みで行なわれます。畑に雑草を生やし、地中の生物の活動を促進して畑を活性化させること(畑に雑草がある状態で畑を耕すと根に酸素がしっかり行きわたり、葡萄の木に散布した農薬も地中に染み込まずに雑草がクッションになる)も今でこそよく見かける光景ですが、このドメーヌでは10年以上前の当時は馬鹿げた行為と言われていた頃から行なっています。
除梗100%で醗酵は赤はコンクリートタンク、白はステンレスタンク及び樫樽を使い、熟成は赤白ともに樫樽を使用します(アリゴテを除く)。赤はアルコール醗酵を最高温度32℃で10~14日間行い、1日1~2回櫂入れ(ピシャージュ)と液循環(ルモンタージュ)をしてピノ ノワールの色調とアロマを引き出します。その後、プレスして澱引きをしてから樽に移されます。白はプレスした後、醗酵前澱引きをしてから樽に入れて20℃を超えない温度でステンレスタンク及び樫樽でアルコール醗酵を行います。定期的に攪拌(バトナージュ)を行って澱や酵母の旨味を引き出し、ワインに厚みを与えます。また、葡萄の風味を損なわないように新樽率は常時20%以下に抑えています。樽から樽へワインを移すときもポンプは使わず、重力を利用してワインに負担を掛けないようにしています。樽熟成は白は10ヵ月間、赤は12~14ヵ月間行っています。
当主からのヴィンテージコメント
2015
とても乾燥した年で日照時間も例年より長く葡萄は良く成熟した。病気などはほとんどなかったが、2012年から2014年まで続いた雹害のストレスなどで葡萄の収穫量が少なくなってしまい、瓶詰出来なかったキュヴェもある。リッチでオイリー、かつ柔らかな酸味もしっかりありバランスが良い。2015年ヴィンテージが私の最後の醸造となります。
MEURSAULT 1ER CRU LES CAILLERETS
ムルソー プルミエ クリュ レ カイユレ
品種:シャルドネ%
ヴォルネーとムルソーの境界線にある見晴らしの良い区画で、粘土質土壌の畑には大小たくさんの石灰岩が散らばっています。所有する畑の広さは約0.082haと非常に狭く、葡萄の木は1984~1985年に植えられました。土壌由来の鉱物的なミネラルと凝縮した酸味を豊富に含み、最初はやや固さもありますが直線的で余韻の長い、非常に高いポテンシャルを秘めたワインです。10年くらいで酸も丸くなってきて良い熟成感を醸し出してきます。
MEURSAULT CLOS DE LA VELLE
ムルソー クロ ド ラ ヴェル
品種:シャルドネ
畑は醸造所のあるシャトーに隣接しており、粘土質の緩やかな斜面。とても日当たりの良い区画で広さは約0.86ha、最も古い木は1956年に植樹されました。火打石やパイナップル、ヘーゼルナッツのアロマがあり、果実味と酸味、ミネラルがバランスよく感じられ、凝縮感もあってスマートにまとまっています。1997年に「シャトー ムートン ロートシルト」、ルイ ロデレールの「シャンパーニュ クリスタル」と共にフランス大統領晩餐会用ワインに選ばれたこともある、このシャトーを代表するワインになります。
BEAUNE CLOS DES MONSNIÈRES
ボーヌ クロ デ モンスニエール
品種:シャルドネ100%
畑は真南向きの丘の上にあり、広さは約1.3haで平均樹齢は30年、古木は60年にもなります。雨による土砂滑り対策と地中生物による土の活性化を促す為に雑草が植えられていて、その昔フィロキセラの被害に遭った畑でもあります。生のアーモンドやアカシアの花を連想させるような繊細なアロマが香り、ミネラルの爽やかさとグリセリンのオイリーさがバランス良く口の中に広がります。
BOURGOGNE BLANC CUVÉE DE LA CHÂTELAINE
ブルゴーニュ ブラン キュヴェ ド ラ シャトレヌ
品種:シャルドネ100%
広さ約1.5haの畑はBeauneの丘の上にある「La Grande Châtelaine(ラ グランド シャトレヌ)」という区画にあります。青りんごのようなアロマ、上品で涼しげな果実味とミネラルがあり、繊細でキレのある酸味が冷製の肉料理や甲殻類と良く合います。下記の「Bourgogne Blanc」よりも樽熟期間が長く新樽も使用しているのでより厚みのある味わいになっています。
BOURUGOGNE BLANC
ブルゴーニュ ブラン
品種:シャルドネ%
通常樽売りしてしまうワインを自社瓶詰して造られるブルゴーニュ ブラン。上記「Cuvée de la Châtelaine」の生産量が少ない時のみ生産されます。畑はムルソー村に位置する「Les Gouttes(レ グット)」という区画で、上記「Cuvée de la Châtelaine」よりも樽熟期間が短く、旧樽のみで熟成します。柑橘のニュアンスが強く、軽やかで飲みやすい味わいになっています。
BOURGOGNE ALIGOTÉ
ブルゴーニュ アリゴテ
品種:アリゴテ100%
畑の広さは約1.8haでMeursault 1級「Les Charmes(レ シャルム)」の東に位置する、林に囲まれた「Les Basses Gouttes(レ バス グット)」という平地の区画にあります。フレッシュな酸味とミネラル、品種特有の香味と果実味が楽しめます。
POMMARD LES CHANLINS
ポマール レ シャラン
品種:ピノ ノワール100%
畑の広さは僅か0.15haで年間800本しか造られない希少なワインです。1級区画とヴィラージュ区画にまたがっている急傾斜の畑で葡萄の樹齢は約60年、1級区画とヴィラージュ区画の葡萄を別々に醸造して瓶詰前にアサンブラージュしています。酸とタンニンが凝縮していて余韻も長く、ポマールらしい力強い味わいです。
BEAUNE VIEILLE VIGNE DE SAINT DÉSIRÉ
ボーヌ ヴィエーユ ヴィーニュ ド サン デジレ
品種:ピノ ノワール100%
畑はボーヌの南にあるサン デジレの丘に位置し、樹齢は40~50年です。区画の名前の由来は、中世にサン デゼールという修道士が住んでいたこと、畑の中から十字架が見つかったことから「Saint Désiré(聖なる願い)」という名前が付けられたなど諸説あります。1級畑に囲まれているためにポテンシャルは素晴らしく、濃厚な果実味としなやかなタンニンが赤身の肉やキジなどの家禽類の料理と良いマリアージュをします。
SAVIGNY-LÈS-BEAUNE
サヴィニー レ ボーヌ
品種:ピノ ノワール100%
広さ0.2haの畑は黒いポプラの木または中世の銅貨を意味する「Aux Grands Liards(オー グラン リヤール)」という区画にあります。イチゴやミントのアロマ、強い酸味に負けない濃厚な果実味でしなやかなタンニンが余韻に広がります。2014年に借りていた畑を返したので2013年が最後のヴィンテージとなりました。
BOURGOGNE PINOT NOIR
ブルゴーニュ ピノ ノワール
品種:ピノ ノワール100%
畑はサヴィニー レ ボーヌ村の「Les Prévaux(レ プレヴォー)」とポマール村の「Les Chazeaux(レ シャゾー)」と「Les Lormes(レ ローム)」に位置し、1980年に植樹された葡萄を中心に広さは約1.3haになります。繊細な酸味と果実味がありながらタンニンもしっかりしていて飲み応えがあります。
CRÉMANT DE BOURGOGNE BRUT BLANC
クレマン ド ブルゴーニュ ブリュット ブラン
品種:ピノ ノワール60%、シャルドネ30%、アリゴテ10%
圧搾機でプレスし澱引きした後、すべてステンレスタンクで醗酵させ、同じように「méthode traditionelle方式」で仕上げられます。最低でも9ヵ月間寝かせられます。アペリティフとして飲むとフレッシュで繊細な泡と酸味が食欲をそそり、食前の会話を弾ませてくれます。
CRÉMANT DE BOURGOGNE BRUT ROSÉ
クレマン ド ブルゴーニュ ブリュット ロゼ
品種:ピノ ノワール100%
プレス機に葡萄を一晩入れておいて軽く色だしをし、ステンレスタンクでで醗酵させ、「méthode traditionelle方式」で仕上げられます。最低でも9ヵ月間寝かせられます。また、マセラシオン カルボニックで品種のアロマをしっかり引き出します。軽やかな泡と赤い果実の甘味と酸味が口の中に広がり食欲を増進させてくれるので、アペリティフとして最適です。ブルゴーニュ ルージュの畑の一部の葡萄がクレマン用として使われます。
MARC DE BOURGOGNE(1980年蒸留:アルコール42%)
マール ド ブルゴーニュ
赤ワインを造る段階で出る、ピノ ノワール種の圧搾滓から造られています。1980年収穫の圧搾滓を蒸留し、25年間樽熟させてから2005年に瓶詰めしました。マールを造る年はマールの質を高める為に圧搾を非常に軽めにするので、圧搾滓にもかなりのアロマとワインが残っています。
FINE DE BOURGOGNE(1984年蒸留:アルコール42%)
フィーヌ ド ブルゴーニュ
1983年収穫のワインを醸造する段階で出た澱を1984年1月に蒸留し、22年間樽熟させて2005年に瓶詰しました。良い年しか造らず、さらに澱は少量しか発生しないので貴重です。